海釣りで使ったスピニングリールは、塩分を落とし、水気を拭き取って、風通しのよい日陰で乾かしてから保管します。水洗いに対応した機種なら、弱い水流の真水で外側を洗うのが基本です。水につける、強い水流を当てる、濡れたままケースにしまう、といった手入れは避けてください。

水洗いの可否や注油できる場所は機種によって異なります。まず取扱説明書の「お手入れ」を確認し、以下の手順よりもメーカーの指定を優先してください。

海釣り後の手入れはこの順番で進める

水洗い可能な機種では、次の流れが基本です。用意するものは、真水と柔らかい布。通常の使用後に、毎回分解する必要はありません。注油の時期や箇所は取扱説明書で確認します。

  1. 針や仕掛けを外し、リールを竿から取り外す。
  2. 取扱説明書に従ってドラグを締める。
  3. 弱い水流の真水で、外側の塩分や汚れを短時間で流す。
  4. 柔らかい布で水滴を拭き取る。
  5. 風通しのよい日陰で十分に乾かす。
  6. 乾燥後はドラグを緩め、湿気の少ない場所に保管する。

ドラグは、魚に引かれたときに糸を出して負荷を逃がす機構です。洗う前に締めるよう指定されている機種では、ドラグ部への水の侵入を抑えるために締めます。ただし、締めてもリール全体が防水になるわけではありません。

水洗いは弱い水流で。つけ置きとお湯は避ける

海水が乾くと塩分が残り、金属部の腐食や可動部の不調につながります。海水を直接かぶっていなくても、飛沫や濡れた手から塩分が付くため、帰宅後は早めに手入れします。

水洗いに対応した機種は、蛇口の水の勢いを弱め、リールの外側を流します。スプールは糸を巻いてある部分、ラインローラーは巻き取る糸が通る小さなローラーです。こうした部分や、海水の付いたハンドル周辺も、取扱説明書に従って強く噴射せず洗います。

汚れが付着しているときは、真水で湿らせた柔らかい布で優しく落とします。隙間に水を押し込むような洗い方はしません。

避けたい洗い方理由・代わりの方法
バケツや洗面器につけ置きする内部へ水が入るおそれがあります。水洗い可能な機種は、外側を弱い流水で洗います。
強いシャワーや高圧の水を当てる隙間から水を押し込みやすくなります。水量と勢いを抑えます。
お湯で洗う内部の油脂や部品に影響するおそれがあります。常温の真水を使います。
水を当てながらハンドルを回す水が内部へ入り込むおそれがあります。洗浄中は回さないようにします。
家庭用洗剤や溶剤で洗う油脂や樹脂、塗装を傷める可能性があります。メーカー指定がなければ使いません。

水洗いに対応していない機種は、取扱説明書に従い、真水で湿らせた布で拭くなどの方法で手入れしてください。

乾燥は日陰で。濡れたままケースに入れない

洗い終えたら、柔らかい布で表面の水滴を吸い取ります。隙間に布や綿棒を無理に押し込まず、届く範囲を拭きます。

その後は、直射日光を避けた風通しのよい場所に置きます。ドライヤーの熱風や暖房器具で、急いで乾かさないでください。高温は樹脂部品や内部の油脂に悪影響を与えるおそれがあります。

乾燥時間は、気温や湿度、糸の巻き量で変わります。「数時間たったから大丈夫」と決めず、スプール周辺や巻いた糸にも湿り気が残っていないか確認します。

スプールの取り外しが認められている機種では、説明書に従って外し、別々に乾かす方法もあります。ワッシャーなどの小部品をなくさないようにし、通常の手入れでドラグ内部まで分解しないでください。

保管するときはドラグを緩め、湿気を避ける

乾燥後はドラグを緩めて保管します。ドラグを締めたまま長期間置くと、内部の部品に圧力がかかり続けるためです。緩める量や保管方法に指定があれば、それに従います。

ケースを使う場合は、リールだけでなくケースの内側も乾いていることを確かめます。濡れたリールを密閉すると湿気がこもり、腐食を進める原因になります。

直射日光の当たる窓際、高温になる車内、湿気の多い物置は避けます。次の釣行では、保管時に緩めたドラグをそのまま使わず、糸や仕掛けに合う強さへ調整してください。

注油は指定に従う。場所と油の種類を確認する

使用後の手入れは、まず塩分を落として乾燥させることが中心です。回転部があるからといって、すべての隙間に油を差す必要はありません。注油の頻度は、使用状況とメーカーの指定に合わせます。

注油するときは、メーカーが指定する箇所に、指定されたオイルやグリスを指定量使います。オイルは流動性のある潤滑油、グリスは粘りのある潤滑剤で、使う場所が異なります。

ラインローラーも、機種によっては注油禁止です。防水・密封構造の部品に自己判断で油や洗浄剤を入れると、性能を損なうことがあります。

汎用の潤滑スプレーをリール全体へ吹きかけたり、自己判断でドラグ内部へ油を入れたりするのは避けます。注油先が分からない場合は、メーカーや釣具店に確認してください。

海水に沈めた・砂をかんだ場合は通常の手入れで済ませない

リールを海に落とした場合は、表面を洗っただけで内部の海水まで除去できたとは判断できません。防水性能のある機種でも、海水への水没を前提としているとは限りません。

砂が付いた場合も、動作確認のために無理にハンドルを回すのは避けます。砂をかんだ状態で動かすと、部品を傷めるおそれがあります。

  • 海水に水没させた。
  • ハンドルが急に重くなった、引っ掛かる。
  • 異音がする、回すと明らかにざらつく。
  • ラインローラーの動きが悪い。

こうした場合は使用を控え、メーカーや釣具店に点検・修理を相談します。水没した場合は早めに連絡し、点検に出すまでの処置も確認してください。水没した日時や症状を伝えると、状況を説明しやすくなります。自己流の分解や大量の注油で直そうとしないでください。

手入れのついでに糸の傷も確認する

リールが乾いたら、スプールの縁に傷がないか、糸に毛羽立ちや擦れがないかも見ておきます。汚れを落としても糸の傷は直らないため、洗浄とは別に点検してください。

PEラインに傷がある、キャスト時に切れるといった場合は、PEラインがキャスト時に切れる原因と点検手順を参考に、糸・結び目・竿のガイドを順に確認してください。