釣ったアナゴを処理するときは、滑る魚体を確実に固定し、締める処理と血抜きを行って、速やかに冷やします。ただし、締める処理と血抜きは別の作業です。首元の背骨を切っただけで、確実に締まったとは判断できません。

アナゴはぬめりが強く、固定せずに刃物を使うと危険です。安定した作業台や固定具がない場合、処理する位置が分からない場合は、釣り場で無理に作業せず、処理に慣れた人に任せてください。

また、マアナゴなどのアナゴ類の血液には毒性があるため、血を目・口・傷口に付けないように扱い、生食は避けます。血抜きをしても、生で食べられるようになるわけではありません。

締める前に用意する道具

  • 魚体を載せられる、安定したまな板と滑り止め
  • 頭を固定できる魚用の固定具
  • 締める処理に使う魚用の器具と、魚の処理に適した包丁
  • 針外し用のプライヤー
  • 使い捨て手袋と、血液の飛散を防ぐ保護眼鏡
  • 血抜き用の清潔な容器と、飲用に適した冷たい水
  • 氷入りのクーラーボックスと食品用の袋

使い捨て手袋は、血液との接触を減らすためのものです。刃物によるけがや、歯によるかみ傷を防げるわけではありません。手に傷がある場合は防水の絆創膏などで覆い、その上から着用します。

夜釣りでは、器具の先端と魚の頭がはっきり見える明るさも必要です。暗い足元や堤防の縁では作業しないでください。

穴子を締めて血抜きする手順

1.針を外し、魚体を固定する

口元を素手でつかまず、プライヤーで針を外します。針を飲み込んでいる場合は、無理に引き抜かず、仕掛けを切って処理後に取り除きます。針が残っている魚はほかの魚と分け、後で分かるようにしておいてください。

魚体をまな板に載せ、専用の固定具で頭を固定します。長い胴が台から大きくはみ出さないようにし、刃や器具が進む方向に手を置かないでください。固定が不十分なら、次の作業には進みません。

2.締める処理を行う

魚を締める方法の一つに、専用の器具で脳を破壊する「脳締め」があります。アナゴでは頭が小さく、ぬめりもあるため、位置と器具の扱いを理解していることが前提です。脳の位置が分からないまま、頭へ器具を刺して探ることは避けてください。初めて処理する場合は、慣れた人に実物で位置と固定方法を教わるか、処理を任せます。

首元で背骨を断つ処理と、脳を破壊する処理は同じではありません。また、締めた後でも反射で胴が動くことがあります。動きの有無だけで判断して、刃や器具を何度も入れないでください。

3.首元の血管を切り、短時間で血抜きする

締める処理の後、頭を固定した状態で、頭の付け根にある血管を切って血抜きします。背骨を切ることと血管を切ることを混同せず、切る位置が分からなければ慣れた人に任せてください。包丁を振り下ろしたり、刃を無理にねじったりするのは危険です。

切り口を飲用に適した冷たい水に浸し、血を出します。汚れた港内の海水や、日なたで温まったバケツの水は使わないでください。水が血で濁ったら交換し、血の出方が落ち着いたら取り出して、表面の血を洗い流し、水気を切ります。

長時間水につけておけば血が完全に抜ける、というものではありません。血抜きに時間をかけて魚を温めるより、早く保冷へ移ることを優先します。尾を切るだけで、締める処理の代わりになるわけでもありません。

4.袋に入れて速やかに保冷する

処理したアナゴは食品用の袋に入れ、氷や保冷剤で速やかに冷やします。袋の空気をできるだけ抜き、魚を大量に詰め込まず、袋の外側に氷や保冷剤が接するように収めます。袋を厚く重ねると冷えにくくなるため注意してください。

持ち帰りの準備は、釣った魚の持ち帰り方|氷・保冷・帰宅後の処理で鮮度を守る基本も参考になります。

アナゴの血液を扱う際の注意

アナゴの血液に含まれる毒性成分は、十分な加熱によって失活します。ただし、血抜きや水洗いだけで安全になるものではありません。刺身や表面だけをあぶる食べ方は避け、煮る・焼く・揚げるなどして中心まで十分に加熱してください。

  • 血が付いた手袋で、目や口、飲食物に触れない
  • 切り口に強い水流を当てて、血や水を顔へ飛ばさない
  • 生のアナゴを扱った包丁やまな板を、洗浄せずに調理済みの食品へ使わない
  • 作業後は手を洗い、器具を洗浄して、素材に適した方法で消毒する

血が目に入った場合は、こすらず、すぐに清潔な流水で十分に洗い流し、医療機関に相談してください。傷口に付いた場合も流水で洗い、腫れや痛みなどがあれば受診します。誤って飲み込んだ場合は、自己判断で吐かせず、医療機関や中毒相談窓口に相談してください。

釣り場で無理に処理しないほうがよい場面

夜の堤防で、安定した作業台も固定具もない場合は、刃物を使う処理を避けます。揺れる船上、強風時、人が近くを通る場所も、安全に作業できる環境ではありません。

そのような状況では、無理に押さえ込んで処理せず、逃げ出しを防げるふた付き容器などで一時的に確保し、速やかに安全な処理場所へ移してください。一時的な確保は、生きたまま長時間放置するための方法ではありません。

帰宅後に腹を開いて内臓を除く際も、飲み込まれた針に注意します。針が残っている魚は、腹の中へ指を入れて探らず、プライヤーなどを使って確認・除去してください。

アナゴの処理では、確実な固定、締める処理と血抜きの区別、血液との接触を避けること、速やかな保冷が大切です。位置や手順に自信がないときは、文章だけを頼りに刃物を入れず、慣れた人に任せましょう。